episode103(最終回)
気がつけば、ずっとこの物語を書いてきました。
これは全て私にとって実際にあった話しです。
初めは短編な話しを書いていました。
そうしているうちに、私は【ある事】に気が付きました…
私がこの物語でみなさんに伝えている事…
それは【ある人】に全て話してきた事だったんです。
みなさんにこの物語で私の実話を伝えるずっと前に…
私の全ての話しを知っている人がいました…
今からもう20年以上も前、私が22〜26歳までの間のこと。
物語の内容にあたる当時は、本当に辛い時期でした…
何をやってもダメ…
頑張れば頑張るほどダメになる…
まるで神に見放されたと言うか…
わざとやられてるんじゃないかって思うほどに本当に辛い時期でした…
でも…
そんな私の話しを聞いて、笑ってくれた親友がいました。
私の一番の親友【いっちゃん】でした。
彼は、私が辛い話しをしても
ただただ…
笑ってくれてたんです。
だから、私は辛い話しを今ではこうやって笑い話しとして、みなさんに伝える事ができるんです。
嫌な思い出も全て、人に笑い話しとして伝えられるようになりました…
人間、辛い経験をしたらそれで終わりじゃないんです。
必ず自分にとってプラスになるんです。
だから私は昔の私より、かなり強くなったと思います。特にメンタル面では…
今では、どんなに辛い事があっても
『あのときに比べれば屁でもねぇ!』
と思えるようになりました。
ここ数年でも辛い思いもたくさんありました…
でも彼のおかげで、こうして強くなれた私は、難なく全てをクリアしていけました。
人間、辛い時期も必ず必要です…
自分が強くなるために…
今回で、オレ物語は最終回になります。
私がずっと書き続けてきた物語…
全ての意味がここにあります…
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2005年9月3日…
火葬場にて…
オレは初めての人の骨を見た…
それが…
一番の親友のものになるとは…
episode103(最終回)
【オレ物語・本丸・最終章】
〜永遠の親友〜
今から20年前、オレにはこれ以上の親友はいないと言える友達がいた…
彼の名は【いっちゃん】
彼は、『一生に一度でいいから富士山に登ってみたい』
と言っていたので、オレと二人で、富士山に登山に行ったのだった…
彼は、当時付き合っていた彼女に別れを告げられて、ずっと落ち込んでいたが、2人で富士山に登り、ご来光を見て新しくスタートする決心をした。
オレも、ホストの時に知り合った【まゆちゃん】と結婚することを決心した。
オレと、いっちゃん…
富士登山を機会に、新しく人生をスタートすることを決意したのだった…
オレたちの人生は、これからだと。
しかし…
二人で初の富士登山を終えて、2週間後…
オレの携帯に急な知らせが…
いっちゃんが…
交通事故で亡くなったのだ…
今から20年前の8月31日。
夏の終わりの日に、彼はこの世を旅立ってしまった…
26歳という早すぎる生涯だった…
オレは、すぐに彼の家へ駆けつけた…
するとそこには、ただ眠っているかのような彼がいた…
でも、もう彼は二度と起きることはない…
オレは、この状況をすぐには受け入れる事が出来なかった…
冗談でいいから…嘘だと言ってくれ…
また、いきなりオレの前にヒョッコリ現れるんだろ?
でも…それは叶わぬ思いだった…
次の日の夜…
不思議な出来事があった…
彼のお通夜の前日の事だ…
オレは、部屋で一人、ボーッとしていた…
すると…
誰かがオレの部屋に入ってきた気配がした…
もちろん、周りを見ても誰もいない。
でも…違う…
確かにいる…
彼が来てくれたのだ…
オレには、すぐに分かった!
オレに会いに来てくれたんだ…
オレは、『おう!よく来たね!』
と言って、彼の好きな缶ビールを出してやった…
しばらくしてから、オレは彼に言った…
『また、あの店にでも行くか?』
と…
よく夜中に、二人でヒマ潰しに行ってた店だ。
オレは車を出して、その店に向かった…
もちろん、車に乗ってるのはオレだけだが、オレには分かる…
彼は、ちゃんと隣に乗ってる…
そして、その店に着いてしばらくしてから…
彼の気配はなくなった…
帰りの車内にも、彼はいなかった…
短い時間だったが、彼は最後にオレに会いに来てくれたのだった…
次の日…
今日は、彼のお通夜だ…
棺に入っている彼の顔を見ると、嬉しそうに微笑んだ顔をしていた…
彼は友達がたくさんいるから、今日のお通夜にもたくさんの友達が来てくれていた…
だから嬉しい顔をしているんだろう。
みんな彼の棺の周りから離れようとしない…
こんなにたくさんの友達に囲まれて…
彼は幸せそうだった…
そして次の日…
彼の告別式の朝…
火葬場へ向かうため、彼との最後の面会の時…
彼の顔は、昨日とは違って悲しい顔をしていた…
お別れだということが分かるんだ…
彼の家族が、棺の中にオレと一緒に富士山で使った笠と杖を入れてくれた…
彼にとって最後の思い出の物だから…
そして、火葬場に到着し…
2時間後…
オレは、初めて人の骨を見た…
それが…
一番の親友のものとなるとは…
彼が亡くなってから35日後。
オレは、彼のお墓参りに行った…
その帰りの事だった…
湖沿いの道を車で走っていると、彼が満面の笑みで、天に昇っていくような気がした…
実際には目に見えてないけど…
なんか…
そんな感じがした…
彼が亡くなってから、今まで近くにいた気がしたけど…
今日を境に、彼は天国へと旅立っていった気がした…
オレは、心の中で彼に伝えた…
『これでお別れだな…ありがとう…』
それから数日後…
オレは、不思議な夢を見た…
真っ白い霧の中に、オレは一人で立っていた…
周りは真っ白で何も見えない…
オレは、少し歩いてみると…
目の前に、腰ぐらいの高さで、石で出来たベッドのようなものがあり、そこに彼が眠っていた…
そして、彼の周りには、白い服を着た数人の子どもたちが寄り添い、しくしくと泣いていた…
この子たちは…天使なのか…
そして、その子たちの中心に、白い服を着た髪の長い美しい女性が立っていた…
この女性は…女神様なのか…
彼女は、オレに微笑みかけてこう言った…
『この方は、あなたの子どもとなって生まれ変わってくるでしょう。』
そこで夢が終わった…
夢から目覚めたオレの目には…涙が流れていた…
それから8年後…
もうひとつ、不思議な出来事があった…
オレは、ホストの時に知りあった【まゆちゃん】と結婚し、3人の娘たちに恵まれていた。
上の娘が小学校1年生の授業参観の時だった…
クラスの教室の壁一面に、大きなクジラの雲を型どった紙が貼ってあり、クラスメイトがクジラの雲に乗り、一人一人、自己紹介が書いてあった。
オレは、自分の娘の自己紹介を読んでみた…
すると…
娘が、こう書いていた…
『わたしは、富士山に登ったことがあるよ。雲がとてもキレイだったよ!』
と…
オレは驚いた…
そんなはずはない!娘は、富士山に行ったことなどない!
そしてオレは、あの夢をふと思い出した…
女神様が、オレに言った言葉…
『この方は、あなたの子どもとなって生まれ変わってくるでしょう。』
その瞬間…オレの目には涙が溢れだした…
たしかにそうだ…
オレたちが富士山に登って一番印象深かった事は、雲が綺麗だったことだ…
女神様が、夢の中でオレに伝えてくれた事は、本当だったのかも知れない…
家に帰ってからオレは娘を抱きしめ…
『ありがとう…』
ただその言葉だけを伝えた…
そして2015年の夏…
彼が亡くなってから10年目の夏のこと
当時37歳になったオレは、もう一度、富士山に登ってみようと思った…
一番の親友との最後の思い出の場所に…
オレは、10年前に彼と一緒に使った笠と杖を持ち、そして、富士山で撮った彼の満面の笑みの写真をザックに入れ富士山へと向かった…
再び…この地へやって来たのだ…
その日は、すごく天気が良かった…
10年前に、彼と一緒に来た時と同じ天気だった…
登山の最中に、オレは彼の写真を持って自撮りしようとしていたら、それに気づいてくれた家族連れの親切なアメリカ人の男性が写真を撮ってくれた。
オレは、その男性に親友の写真を持って富士山へ再びやって来た理由を話した…
すると、その男性は深く受けとめてくれて、こう言ってくれた…
『きっと、あなたの親友は喜んでくれているでしょう。あなたは、素晴らしいですよ。』
と…
すごく嬉しかった…
見知らぬ人に、やさしく接してもらい、そして深く受けとめてくれた事…
本当に嬉しかった…
山小屋で仮眠をしてから、ご来光を頂上で見るために深夜にまた登り始めた。
頂上に着いたのは午前4時過ぎだった…
空が、黒とオレンジと青色の三色になっている…
もうすぐ日が登り、ご来光となる…
この空も、10年前に見た…
全く同じ空だった…
そして、ご来光となった。
空と雲の境からではなく、すぐ手前の雲の中から、真っ赤な太陽が現れた…
本当に不思議な光景だ…
オレは、ザックの中から、彼の写真を取り出して、こう言った…
『ほら…見てみろ。あの時と同じだ…全く同じだ…』
10年前に、彼と一緒に見た…ご来光…
全く同じだった…
それはまるで、あの時に時間が戻ったかのようだった…
横を向けば、隣に彼がいるんじゃないかと思うと…
涙が止まらなくて…
止まらなくて…
10年ぶりに、この地へやって来たが、何も変わらず、全く同じだった…
この空、この雲…
そして太陽…
この場所は、オレを10年前に戻してくれた…
あの時と同じ…何もかもが…
そして、もう1つ…
ずっと変わらないものがある…
彼は、オレの心の中で、ずっと生き続けているということ…
彼が天国へ持っていった、この笠と杖…
オレの一生の宝物となるだろう。
オレの一番の親友…
いっちゃん…
本当にありがとう。
END
☆☆☆☆☆☆☆☆
ずっと読み続けてくれた方々、本当にありがとうございました!
m(_ _)m
とりあえず、一応!
これで終わりです。
m(_ _)m
みなさん。長い間本当にありがとうございました!!